八千代くんのものになるまで、15秒
「蓮、あの子日向さんだよね?なんで八千代と話してるの?」
トイレから戻ってきた梢が、八千代くん達を見ながら不思議そうな顔で話しかけてきた。
八千代くんが、階段から落ちそうになった日向さんを助けたからだよ。
そう言うと、「ふぅん」と、興味があるのかないのかなんとも言えない返事が。
「いいの?八千代のこと、下の名前で呼んでるけど」
「うぐ……でも、私がとやかく言える立場じゃないし……」
八千代くんのことをどう呼ぼうが、日向さんの自由だもん。
「──それでね、梓希くんもう少しで誕生日だって聞いたから、」
「うん」
「この前のお礼と、誕プレもかねて、放課後どこかご飯食べに行こうよ」
さらり、八千代くんを誘った日向さんに思わず目を丸くした。