八千代くんのものになるまで、15秒


「なに?」
「だっ、だから、それってつまりは……」
「うん」

「〜っや、八千代くん、は、」



一々、素直に反応してくれるんだから、つい意地悪したくなる。



「すきだよ」
「っ、な、」
「はは。なに?」

「だって、ぜったい、おかしい……」



ここまできて信じられない倉木に、心の中で笑った。
ふぅん。おかしいって、倉木は思うんだって。

だから、


「今、こーやって手繋いでるじゃん」
「あっ、」
「恋人繋ぎ。わかる?」

「わ、わかる、けど」


倉木の小さな左手にぎゅ、と力を込めると、
それに反応してビクッと肩が揺れる。



「こーいうこと、倉木にしかしないよ。」

「っ、」
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