八千代くんのものになるまで、15秒






「それ以外に、なにがあるの」



ゆるりと笑って、八千代くんはそう言った。

……八千代くんが、私のことが好きって、言った。
そう言ってくれた。

この展開に、頭が追いつかない……
追いつかない、けど。



「ゆ、夢じゃないよねっ?」



無かったことにだけはしたくないから、この瞬間のこと、全部、絶対に忘れないようにしよう。

八千代くんが笑ったこと、左手をずっと握っていてくれたこと。

"すきだよ"って、言ってくれたこと。

絶対、忘れない。



「夢じゃないね」
「あ、う、八千代くんが"すき"って言ってくれたことも……」

「はは。倉木が望むなら何回でも言うけど」

「っな、なんで八千代くんはそんなに余裕なの……っ!」
< 139 / 279 >

この作品をシェア

pagetop