八千代くんのものになるまで、15秒
*
「それ以外に、なにがあるの」
ゆるりと笑って、八千代くんはそう言った。
……八千代くんが、私のことが好きって、言った。
そう言ってくれた。
この展開に、頭が追いつかない……
追いつかない、けど。
「ゆ、夢じゃないよねっ?」
無かったことにだけはしたくないから、この瞬間のこと、全部、絶対に忘れないようにしよう。
八千代くんが笑ったこと、左手をずっと握っていてくれたこと。
"すきだよ"って、言ってくれたこと。
絶対、忘れない。
「夢じゃないね」
「あ、う、八千代くんが"すき"って言ってくれたことも……」
「はは。倉木が望むなら何回でも言うけど」
「っな、なんで八千代くんはそんなに余裕なの……っ!」