八千代くんのものになるまで、15秒
私は、こうやって八千代くんと近い距離にいるだけでいっぱいいっぱいなのにっ。
そう言うと、八千代くんは何かを考えるような間をあけて。
「──余裕じゃないよ」
「ぅわっ、」
グイッと引っ張られた私は、気付けば八千代くんの胸の中にいた。
ぎゅ、と、八千代くんに抱き締められていることを自覚して、どきどきと胸が鳴る。
……あれ?でも……
ドキドキ、心臓が鳴っているのは私だけじゃない……?
手のひらを八千代くんの胸に当ててみる。
……八千代くんの鼓動も私と同じように感じる。
「八千代くんも、ドキドキしてる?」
そう聞くと、八千代くんは可笑しそうに笑った。
「こんなの、しない方がおかしいでしょ」