八千代くんのものになるまで、15秒
#4
手を繋いで、八千代くん
「え!八千代くんのバイト先?」
「そう。割引してくれると思うしゆっくり話せるかなって思って。どう?」
「行きたい!」
……と、いうわけで。
八千代くんとの記念すべき初デート。
教室で提案してくれた通り、放課後に八千代くんのバイト先に連れて行ってもらった。
レトロな喫茶店を前に、目を輝かせる私。
「なんか八千代くんっぽいね!」
「はは、なにそれ」
八千代くんは可笑そうに笑いながら、ステンドグラスの入った扉を開けた。
中に入ると、コーヒー豆の香ばしい香りが鼻先をかすめた。
「この時間はあんまりお客さんもいないからなんか暗いでしょ」
八千代くんはそう言うけど、私としては落ち着ける雰囲気を感じてるから、あまり気にならない。