八千代くんのものになるまで、15秒


「な、なな、なんで……」
「キスしたいって思ったから」

「っぅ、そ、そういうことするなら!事前に言って……!」

「なんで?」
「心の準備が必要なのっ!」

「はは。じゃあさ、」



妖しく笑いながら、八千代くんは私の耳に口元を寄せて。



「倉木も、あんまり俺のこと煽らないでね」
「っ、」

「無自覚にかわいいこと言ってくるから」
「そ、んなこと……」

「あるから。だから気を付けて」



離れ際にリップ音を立てて頬にキスをした八千代くんは、
真っ赤になって口をはくはくとさせている私を見てどこか満足気。



「あと、」
「ま、まだ何かっ……!?」



胸のあたりを抑えながら息を整える。
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