八千代くんのものになるまで、15秒
触れるだけのキスから、体に力が入らなくなってしまうような大人なキスまで。
……恥ずかしながら少しずつ経験してきたわけだけれど。
「……こーいう、いつ人が通ってもおかしくないところではさ、やめた方がいいんじゃないかな……」
両手首を壁に押しつけられたまま、肩で息をする。
そんな私を見て、梓希くんはゆるりと笑った。
「スリルがあっていいかと思って」
「楽しんでるよね……」
「倉木の反応が面白くて、つい」
「お、面白いってなに!」
「はは、冗談。可愛くてつい」
ぐぬぬ……相変わらず梓希くんは余裕だ。
なんかこう、私ももっと梓希くんのこと振り回したい。
その余裕げな表情をなんとか崩してみたい。
……とか、考えてみたり。