八千代くんのものになるまで、15秒
うう、これはもう覚悟を決めるしかない……
シルバーのピアスを手に取って、ごくりと唾を飲み込む。
立ち上がって、自分の席に座っている梓希くんのもとへ。
「いくよ……?」
「どーぞ。」
梓希くんの少し伸びた髪を優しくはらって、耳に触れた。
教室の時計の音と、梓希くんに触れていることに対する自分の心臓の音。
これだけがずっと頭に響いていて、ちょっと苦しい。
数秒後、ピアスキャッチがかちりとはまる音がして、安堵の息を漏らした。
「痛くない?」
「全然。」
「そっか、よかった……」
「似合ってる?」
「うん。すごくいい」
シルバーのピアスが、梓希くんの艶のある黒髪に映えて見える。
とてもキレイ。