八千代くんのものになるまで、15秒
抱きしめて、八千代くん
「──あの、梓希くん、」
「なに」
「……だれもいない家で、さすがにこれはまずいんじゃ……?」
「んー……どうだろう。でもどっちにしろ、蓮が悪いよね?」
扇風機の回る音、グラスの氷が崩れる音。
冷たいフローリング、梓希くんの柔らかい匂い。
私の上に覆いかぶさっている梓希くんが、ゆるり妖しく笑う。
『梓希くん、図書館で一緒に課題やらない?』
こんなことになるのなら、あんなこと最初から言わなきゃよかった……。