八千代くんのものになるまで、15秒
タイミングが悪すぎる……
「ごめん梓希くん、ちゃんと確認しておけば良かった」
「蓮が謝ることないよ。俺も調べてこなかったし……どこかカフェでも入る?」
「探せばどこかにありそう」なんて、梓希くんは言ってくれるけど……
時間はちょうど午後を過ぎたところ。
どこも混んでいて課題どころじゃなくなっちゃうんじゃないかな。
私は別にそれでもいいけど、梓希くんはそれじゃあ集中できないんじゃないかな。
「あの、梓希くん、」
「なに?」
「もし良かったら、私の家にくる?」
スマホで近くのカフェを調べていた梓希くんは、私の言葉にぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「カフェより静かだし、集中できると思うんだけど」