八千代くんのものになるまで、15秒




いつもの見慣れた自分の部屋に、梓希くんがいるのって、変な感じだ。



「はい、麦茶のおかわりどうぞ」



テーブルには課題のプリントやノートが広がっている。
その間にコップを置くと、「ありがとう」と梓希くんは柔らかく笑った。


図書館から移動してきた先は私の部屋。
てっきりお母さんがいるものだと思っていたんだけれど……



『"瑛士くんママとお茶してきます"……?』



なんとお母さんはお出掛け中だったみたい。
置き手紙を梓希くんに見せたら、困ったように笑ってた。



『まぁ、いっか。お母さんにはいつでも紹介できるし……2人の方が集中できるよね』

『蓮が変なこと言わなければね。』
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