八千代くんのものになるまで、15秒
*
いつもの見慣れた自分の部屋に、梓希くんがいるのって、変な感じだ。
「はい、麦茶のおかわりどうぞ」
テーブルには課題のプリントやノートが広がっている。
その間にコップを置くと、「ありがとう」と梓希くんは柔らかく笑った。
図書館から移動してきた先は私の部屋。
てっきりお母さんがいるものだと思っていたんだけれど……
『"瑛士くんママとお茶してきます"……?』
なんとお母さんはお出掛け中だったみたい。
置き手紙を梓希くんに見せたら、困ったように笑ってた。
『まぁ、いっか。お母さんにはいつでも紹介できるし……2人の方が集中できるよね』
『蓮が変なこと言わなければね。』