八千代くんのものになるまで、15秒
「ん、えっ、と?梓希くん?」
「ん?」
「なんか、私、押し倒されてる……?」
ぐ、と押されたかと思えば、いつの間にか梓希くんは私の上に覆いかぶさっていた。
扇風機の回る音、グラスの氷が崩れる音。
冷たいフローリング、梓希くんの柔らかい匂い。
梓希くんが妖しく笑うから、冷や汗が止まらない。
「──あの、梓希くん、」
「なに」
「……だれもいない家で、さすがにこれはまずいんじゃ……?」
「んー……どうだろう。でもどっちにしろ、蓮が悪いよね?」
わ、私が悪いの?
「……もしかして、私、"変なこと"言っちゃった、とか……」
「はは、言っちゃったね」