八千代くんのものになるまで、15秒
ネットで書かれていた内容を必死に思い出す。
梓希くんの首筋にそっと唇を触れさせた。
キスしたり、ほんの少し吸ってみたり。
自分なりに色々と試してみた結果……
「──つ、付かないんですけど……」
梓希くんの白い首筋に、紅い痕はついていない。
お、思った以上に難しい。私だけなのかな……
教室扉の窓ガラスで自分の首元を確認する梓希くん。
首筋を触ってみせて、「はは、」って笑い声をこぼす。
「へたくそ。」
その意地悪な笑顔に、不覚にも胸が鳴った。
「付け方、教えてあげようか」
「え、」
「柔らかいとこだったら簡単に痕は残るはずなんだけどね」
そう言いながら梓希くんは私の腕をとって、肘よりも上の、二の腕あたりにキスを落とす。