八千代くんのものになるまで、15秒
その表情は、ほんの少しだけ寂しそうで。
些細なことだけれど、こういうところから、いかに梓希くんが倉木さんのことを想っているのかが分かってしまうから、
私も、少し辛くなってくる。
倉木さんと付き合ったと知った時から、
梓希くんのことは諦めようと何度も思ったのに。
梓希くんを廊下で見かけるたびに、あの時助けてくれたことを思い出しては、私は自分の胸を高鳴らせていた。
だから、梓希くんとたくさん話をしたこの準備期間は本当に幸せで。
宣伝のためとはいえ、今日だって2人並んで文化祭の校内を歩いた。
せっかくだから遊ぼうよって、お化け屋敷に誘ったら"いいよ"って言ってくれた。
一緒にたこ焼きを食べた。