八千代くんのものになるまで、15秒
*
遠くの方で、わぁっと盛り上がる声が聞こえる。きっと体育館の方だ。
今はミス・ミスターコンの時間だから。
「つかれたー……」
他の生徒も一般のお客さんも、ほとんどが体育館へと向かった。
やっぱりコンテストの結果が気になるんだろうし、他にもダンス部とか吹奏楽部のパフォーマンスもやっているし。
楽しそうだもん。そりゃあ見に行くよね。
「こずえー、コンテスト見に行かなくていいの?」
「いいの。興味ないし」
テーブル代わりにしていた机に突っ伏す私、
その隣で足を組んでスマホをいじる梢。
一気に静かになった教室で、はぁ、と息を吐く。
「タピオカ、大繁盛だったね」
「そうね」