八千代くんのものになるまで、15秒


結局、梓希くんにも会いに行けなかったな。
想像以上にお客さんの量が多くて。



「あんたは見に行かなくていいの?」
「うんー……なんか、いいかなって」



チラッと、梓希くんと日向さんのポスターに視線を移す。



「……私って、だいぶめんどくさい。」



コンテストに出なよって言ったのは私の方なのに。
梓希くんと日向さんの写真を見て、少なからず落ち込んでいる私がいる。

なんで最初から想像できなかったかな。
こーいう気持ちになるって。



「あんたは、もっと自分の気持ちに素直になりなよ」
「包み隠さず私の気持ちは梓希くんに伝えているつもりだけど……」



付き合う前だって、梓希くんのファンですって、笑った顔が好きですって、ずっと言ってたし。
< 236 / 279 >

この作品をシェア

pagetop