八千代くんのものになるまで、15秒
「そうじゃなくて。」と、梢はスマホを見ながら笑う。
「八千代のためを考えて動くのもすごく良いことだとは思うけどさ、もっとシンプルに考えなよってこと」
「シンプルに?」
「そう。自分がどうしたいのかとか、どうして欲しいのかとか」
「……」
「蓮はもっと自分本位になっていいと思うんだよ、私はさ」
私がどうしたいのか……
『蓮は嫌じゃないの?』
『嫌じゃないよ!大丈夫!』
「自分の気持ちはちゃんと伝えていかないと。相手も不安になるかもしれないし、自分も楽しくないよ」
「……めんどうくさいって思われないかな」
「八千代はそんな風に思わないってこと、あんたが1番よく分かってるんじゃないの?」