八千代くんのものになるまで、15秒
甘いのは苦手だからって、滅多に飲まないのに。間違えて買っちゃったの?
手元の紙パックのオレンジジュースを指差すと、「なんでもねーよ」とそれだけ。
「あ。そういや、やっぱり今年のミスコンも3年生が優勝だったぞ」
「ふぅん。そうなんだ」
「は、興味なさそー。おまえ、梓希以外に興味あることあんの?」
「ないよ。」
今のところ、私の中での1番は梓希くんだけだ。
そう言うと、瑛士は仕方ないなとでも言うかのように笑った。
「梓希に会いにいくんだろ。職員室の前で誰かと話してたの見た。なんか梓希によく似た男だったけど」
それはきっと仁さんだ。
母校だから行事には遊びに来るって、前に梓希くんも言っていた。