八千代くんのものになるまで、15秒
な、なるほど。
だから3人で職員室にいたんだね。
その瞬間、職員室の扉がガラッと開き、数学の先生が顔を出した。
百合さんと仁さんのことを見て、「久しぶりだなぁ」と笑う。
もしかしたら2人の担任の先生だったのかな?
楽しそうにお話をする姿を見て、私はチラリと梓希くんに視線を移した。
「俺たちも行こうか」
小さく笑う梓希くん。
それにこくりと頷く。
「……なんか、久しぶりだね、梓希くん」
「そうかも。文化祭で忙しかったからね」
廊下を歩いて、階段をのぼって。
梓希くんの向かう先は、きっと教室なんだろうけど。
「ちょっと寄り道しようよっ」
私が指をさしたのは、屋上へと続く階段。