八千代くんのものになるまで、15秒


な、なるほど。
だから3人で職員室にいたんだね。


その瞬間、職員室の扉がガラッと開き、数学の先生が顔を出した。
百合さんと仁さんのことを見て、「久しぶりだなぁ」と笑う。

もしかしたら2人の担任の先生だったのかな?


楽しそうにお話をする姿を見て、私はチラリと梓希くんに視線を移した。



「俺たちも行こうか」



小さく笑う梓希くん。
それにこくりと頷く。



「……なんか、久しぶりだね、梓希くん」
「そうかも。文化祭で忙しかったからね」



廊下を歩いて、階段をのぼって。
梓希くんの向かう先は、きっと教室なんだろうけど。


「ちょっと寄り道しようよっ」


私が指をさしたのは、屋上へと続く階段。
< 243 / 279 >

この作品をシェア

pagetop