八千代くんのものになるまで、15秒


でも、私のわがままで梓希くんの行動とか、人間関係を縛りたくないって思ったの。

私に気を使わなくてもいいよって、
そういう意味も込めて、"出なよ"って言ったの。

だって、どうしたって私は梓希くんの笑顔が好きなんだもん。
梓希くんには笑っていてほしかったんだよ。



「だけど、そんな私の言葉で、もしかしたら梓希くんを不安にさせてしまったんじゃないかなって、気づいたの」



他の女子と一緒にいるところを見て、何とも思わないわけないよ。
日向さんとの写真を見ただけで、私は心がモヤついたよ。



「ごめんね、梓希くん。"大丈夫"って言ったの、嘘なの。本当は、
……自業自得なのはわかってるけど……
少し、さびしかった。」



梓希くんの胸に顔を埋めながら、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
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