八千代くんのものになるまで、15秒
「っ」
握りしめていた両手をほどいて、ゆっくりと梓希くんの首元へと腕を回す。
満足そうに目を細める彼を、小さな力で引き寄せた。
「キスしたい、」
「ん、いーよ。」
こうやって唇を重ねるのは、もう何度もしてきたことだけど。
やっぱり私は、その度に幸せだと思うんだ。
「っ……ん、ぅ、」
大人のキスはいまだに慣れないし、頭はくらくらするし。
もう、梓希くんにしがみつくことだけで精一杯で。
苦しいのに、気持ちいいって思ってしまうから、こんなの、自分が自分じゃないみたい。
「はあ……っ、」
唇が離れて、私は夢中で酸素を吸い込んだ。
肩で息をする私とは違って、やっぱり梓希くんはまだまだ余裕そう。