八千代くんのものになるまで、15秒


「っき、くん」
「なに?」


いい子いい子って、頭を撫でてくれる梓希くんは、不思議そうに首を傾げた。

そんな彼に、私はあるお願いをする。



「つけて。私は梓希くんのものっていう印」



いつかの時、梓希くんに言われた言葉。
今度は、私が言う番。

「え?」と、困ったように彼は笑う。



「どうしたの、なんか、」
「な、なに……」

「いつもより積極的、というか。」



……だって、



「梓希くんのこと、欲しがっていいんでしょ?」



そう言うと、梓希くんは可笑しそうに吹き出した。
そんな反応をされると、さ、さらに恥ずかしくなってくる。


「なんで笑うのっ」
「っふ、ごめん、だってそのために珍しく髪結んできたのかなって思ったら、」
「もうっ、なにっ」

「いや、かわいいと思って……ははっ」
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