八千代くんのものになるまで、15秒
むぅっと頬を膨らます私に、「ごめんごめん」と笑いを堪えて謝る梓希くん。
「はー……ほんとに、健気だね」
「……馬鹿にしてるでしょ」
「してないしてない。」
そう言いながら、するり、頬を撫でる。
梓希くんの指が耳に触れて、ぴくっと肩が揺れた。
あれ、なんか……いつの間にか、
「蓮の健気で真っ直ぐなところ、好きだよ」
「っ、し、梓希く、ちょっと待って」
「なんで。つけて欲しいんじゃないの」
いやそうなんだけど。
いつの間にか、また妖しい梓希くんになってるから!
み、身が持たないというか……心臓がドキドキしすぎて痛いというか……!
ツーっと首筋を指でなぞられて、反応なんかしたくないのに、思わず声が漏れてしまう。