八千代くんのものになるまで、15秒
バッと片手で口をふさぐ。
そんな私に、梓希くんはゆるりと笑う。
「いーよ、そのままふさいでて。蓮の声聞いたら、俺が止まらなくなりそう」
リボンを解きながら、彼はさらりとそう言った。
もう、どうしよう。
心臓、いたい。
「梓希くん……」
「ん?」
襟を軽く引っ張って、首筋に顔を近づける。
このドキドキをどうにか収めたくて。
もう、素直に吐き出してしまえば少しは楽になるんじゃないかと思ったから、
「だいすき、」
そう呟くと、梓希くんは柔らかく笑って、
私と同じ言葉を返してくれた。