八千代くんのものになるまで、15秒
「おまえ、梓希以外に興味あることあんの?」
「ないよ。」
やっぱり蓮は相変わらず梓希のことを想っていて。
そんな真っ直ぐな蓮のことを眩しいと思うと同時に、頭の中に思い浮かんでいたのは、あの女子のことだった。
体育館の舞台の上で、あの時の俺と同じ表情をしていた。
"彼氏ができた"と言われた時、教室のガラス窓に映っていた俺と同じ表情。
3階まで階段をのぼって、準備室の前に立つ。
ノックをして扉を開けると、その女子は窓の外を静かに眺めてた。
「……なんで、私に声かけたの?」
差し出されたオレンジジュースを受け取って、日向は俺にそう聞いた。
「なんとなく。1人になれる場所教えてあげた方がいいと思って」
「どうして?」