八千代くんのものになるまで、15秒
「おまえ、梓希に告白したの」
「告白っていうか……"好きだった"って、伝えただけ」
「は、嘘じゃん。」
「うん。嘘ついた。まだ気持ちは残っていたけど……でも、困らせたくなかった」
「ふぅん……」
「"ありがとう"って言ってくれたの。なんか、もう、それだけでいいやって」
それだけでいいって、思うようにしてるんだ。俺たち、2人とも。
「邪魔したくないよな」
いま幸せそうに笑ってんだから、そんな2人の邪魔なんか、したくないんだよ。
奪い取ってやろうとか、そんなこと、思わないって言ったら嘘になるけど。
「俺も誰かのヒーローになりてえー」
今はまだ、俺は蓮のことを考えてしまうけど、
いつか、違う人のことを想う時がくるんだろうか。