八千代くんのものになるまで、15秒
それなら、それまでは、まだ自分のこの気持ちを大事にしたい。
それぐらいなら、誰にも文句言われないだろ。
「ヒーローだよ。藤田くんは」
「え?」
俺を見上げて、日向は優しく笑う。
「1人になりたかったから。あそこから私を連れ出してくれて、ありがとう」
その言葉に、俺も力無く笑った。
「藤田くんは、私の第二のヒーローで、それから戦友だね」
「なんだよ、それ」
でも、そうか。
俺も誰かのヒーローになれたのなら、それでいいや。
「ここ、たまに来てもいいかな」
「あー、いいんじゃね。滅多に人も来ないし」
「じゃあ、その時は藤田くんも誘うね」
「は?なんで」
「なんとなく。一緒に泣いて、最後は笑おうよ」