八千代くんのものになるまで、15秒
『ていうか、あんた今日はもともと八千代の家に放課後遊びに行くって言ってたじゃない』
『い、いや、そうなんだけど』
『何今さら怖気付いてるわけ?ご両親に会うの、やっぱり緊張する?』
『……』
『蓮?』
『あのですね……"明日家くる?親出張中だけど"って言われていまして……』
『……』
『……』
梓希くんのマンションの前で、学校での梢との会話を思い出す。
『……あんたそれ、どういう意味か分かってたわけ?』
『も、もちろん……』
『はー……まさか親友が知らない間に大人の階段を登ろうとしてたなんてね』
『なんか言い方!嫌だなぁっ!』
コンビニのビニール袋ががさりと音を立てた。
ゼリーとかお水とか買ってきたけれど……梓希くん食べられるかな。