八千代くんのものになるまで、15秒
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学生の本分は勉強だ、とよく先生が言ってた。
それを否定するつもりはないけれど……
「難しいなー……頭パンクする……」
今回の中間考査、出題範囲広すぎやしませんかね。
先生たち皆授業進めるの頑張りすぎだよ、絶対。
特に数学。
文系の私にとってこの教科が一番苦戦する。
『あんたは計画的に勉強しないからだよ』
『う、こ、梢……一緒に勉強しませんか……』
『私、1人じゃないと集中できないから』
うう、梢はさっさと家に帰ってしまったし。
放課後の教室でため息を吐く。
「あれ……蓮、帰んねーの?」
不意に聞こえてきた声の方に視線を移すと、教室の扉から瑛士が顔を覗かせていた。
瑛士の声に、私と同じように試験勉強をしていた女子数人が反応したのが視界の端で分かった。
さすが学年の人気者。