八千代くんのものになるまで、15秒
どうしたって八千代くんのペース。
でも呑まれるのは嫌じゃない。
八千代くんには不思議なパワーがあるみたい。
「……ていうか、藤田といつも登下校一緒なの?さすが幼馴染だね」
私と瑛士が幼馴染だということは、ほとんどの人が知っていると思う。
なにせ瑛士は人気者だからね。ルックスもいいからモテるし。
まぁ、まさか八千代くんまで知っているとは思わなかったけど……。
「小さい頃からいつも一緒だったから、今さら別々で行くのに違和感があるってだけだよ」
「ふぅん?」
瑛士は学年の人気者だから、当然女子から嫉妬されることもある。
陰口言われたり、わざとぶつかられたり。
高校に入学してからも軽い嫌がらせみたいなことはあったけど、今ではもうさっぱりだ。
きっと、1年の秋頃に瑛士に彼女が出来たからだと思う。
幼馴染の私以外の女子と付き合った彼を見て、自分にもチャンスはあると思ったんだろう。
「倉木はさー……」
「うん」