八千代くんのものになるまで、15秒

隣の席で、八千代くんがクスクスとこれまた綺麗な顔で笑ってた。






「──明後日からテスト始まるのに、そんな調子で大丈夫？」

「だ、誰のせいだと……」




放課後、また教室でテスト勉強をしていると、八千代くんにからかわれた。

何の気まぐれか、なぜか八千代くんは帰らずに隣の席で私のことを眺めている。




「俺のせい？」

「そ、そーだよ。八千代くんが変なこと言うから」




まるで、好きな人がいるかのような、そういうことを言うから。


うぅ……ダメだ、あの時からこればっかり気になっちゃって、勉強に集中できない！

もう聞く！聞いた方が早い！
早く私を勉強に集中させて！




「っあの、八千代くん、」

「んー？」

「その、えっと……」

「はは、なに。」




視線はノートに向けたまま。
ごくり、唾を飲み込む。




「八千代くんには、好きな人がいるの？」




好きな人がいて、その人と上手くいってないの？