八千代くんのものになるまで、15秒
そうすると、「ないよ。」って余裕そうに返されるから。
む、ムカつくけど、こういう所にグッときちゃうわけで……
「でも、そんなことよりもっと他に聞くべきことがあるんじゃない?」
「……へ」
「だって、俺のことろくに知らないでしょ」
「誕生日とか、そういう基本データ」と、そう続けた八千代くん。
パチパチと瞬きをする私。
た、確かに……
「……教えてくれるの?」
「教えてあげる」
そう言って笑う八千代くんは、いつも通り綺麗で、素敵で。
でも、なんか。何だろう、いつもと違うような……
「……なんか、今日、変だよ。八千代くん」
いつも通りに見えるけど、いつもはこんな風に私に構わないでしょ。
「何かあった?」
「……別になにも。ただ、」
「ただ?」
「今日は、倉木と話してたい」