八千代くんのものになるまで、15秒


そうすると、「ないよ。」って余裕そうに返されるから。

む、ムカつくけど、こういう所にグッときちゃうわけで……




「でも、そんなことよりもっと他に聞くべきことがあるんじゃない?」

「……へ」

「だって、俺のことろくに知らないでしょ」




「誕生日とか、そういう基本データ」と、そう続けた八千代くん。

パチパチと瞬きをする私。


た、確かに……




「……教えてくれるの?」

「教えてあげる」




そう言って笑う八千代くんは、いつも通り綺麗で、素敵で。

でも、なんか。何だろう、いつもと違うような……




「……なんか、今日、変だよ。八千代くん」




いつも通りに見えるけど、いつもはこんな風に私に構わないでしょ。




「何かあった?」

「……別になにも。ただ、」

「ただ?」


「今日は、倉木と話してたい」

< 39 / 279 >

この作品をシェア

pagetop