八千代くんのものになるまで、15秒





「──結局勉強そっちのけで八千代くんと話すのに夢中になっちゃった……」

「の割には楽しそうにしてたけどね」

「うぐ、」




八千代くんに続いて学校の階段を降りながらため息を吐いた。

色々と教えてくれた八千代くんにテンションが上がってしまって、下校時刻になったというのに勉強用ノートは真っ白のままだ。




……でも。


八千代くんの誕生日が来月だとか、
意外と辛い食べ物が好きだとか。


インドア派だから休みの日は映画とかドラマをよく観てるとか、
週に2回ぐらい喫茶店でアルバイトをしているとか。


大学生のお兄さんがいるだとか。


八千代くんのことを色々と教えてもらって、そりゃあ楽しかった。

楽しかったし、嬉しかった。





「明日は……明日こそは勉強する」

「帰ったら藤田に勉強教わるのはどう?」

「瑛士は天才型だから教えるのは下手なんだよ。それに今日はあいつバイトだから帰るの遅いし……」

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