八千代くんのものになるまで、15秒
購買で買った焼きそばパンを食べながら、何てことないように梢は聞く。
この手の話に興味がないことは、梢の顔を見れば一発で分かる。
……けれども、今は聞いて欲しい!
「目立ちやすいところにキスマークを付けるような彼女が八千代くんにいるなんて聞いてない」
「蓮の知らない間に出来たんじゃない?ていうか、誰がキスマ付けようが蓮には関係ないでしょ」
「アンタはただの八千代ファンでしょ」と続けた梢に「そうだけど……」と小さくなる私。
「……意外っていうか、ビックリ、みたいな……」
「勝手にイメージ付けて、勝手に驚いてるだけじゃん。そういうの、八千代も迷惑するんじゃない?」
「やだもう、梢の正論グサグサくる!ここら辺すごく痛い!」
心臓のあたりを抑える私を無視して、梢は焼きそばパンの最後の一口を食べ終えた。
「蓮も早く食べなよ。砂埃がうざいからさ」
天気の良い日は中庭のベンチでお昼を食べるのが1年の頃からの私達の日課だ。