八千代くんのものになるまで、15秒
私はただの八千代くんのファンで、
ただ、八千代くんの笑った顔が見たいだけで。
それなのに、独占欲とか自分のものとか……そういう思考になっちゃうの、おかしい。
「まぁ、させないけど」
「っへ、」
ピク、と体が反応する。
肩から八千代くんの重みが消えて、それに少し名残惜しさを感じて。
隣にいる八千代くんを恐る恐る覗き見ると、「なに、その残念そうな顔は」って、冗談まじりに言われた。
「ざ、残念そうって……」
「冗談だよ。一々顔赤くして、本当分かりやすいね、倉木は」
バッと両手を頬に添えて、思わずムッとする。
私の顔を赤く染めるのは、八千代くんなのに。
「はは。いつか悪い男に引っかかりそー」
「引っかからないよっ」
「いや……現に引っかかりそうになってるから、いま」
……八千代くんは、悪い男じゃないもん。