八千代くんのものになるまで、15秒
少し呆れたように笑う八千代くんは、いつもの柔らかい雰囲気とはまた違ったけれど、
ほんの少し、八千代くんの素が見れたような、そんな気がした。
「……私にできること、ないかな」
何でもいい。
八千代くんの言う、な、慰める、ようなことは出来ないかもしれないけど、
話を聞いたり、側にいたり、そういう些細なことでも何か出来たら……
「それ、たぶん後で自分の首絞めるようなことになると思うけど、いいの?」
「っえ、そんなことになると思うの?」
「なると思うけど……自惚れすぎかな」
八千代くんの言っている意味がよく分からないけど、きっと大丈夫だ。
「八千代くんが笑ってくれれば何でもいいよ」
花が咲いたように柔らかく笑う八千代くんを見るのが、私は好きなの。
そう言うと、八千代くんは目を細めた。
「はは……じゃあもう、好きにしなよ」