八千代くんのものになるまで、15秒
──最寄りの駅の改札前で、八千代くんと別れることになった。
こんなところまで来させてしまって申し訳ないな……
そんなことを伝えると、「気にしなくていいよ」って、言ってくれる。
「お礼だから」
「え」
「あそこから俺を連れ出してくれてありがとう」
風で靡く私の髪を掬い取って、八千代くんは柔らかく笑った。
そんな綺麗な仕草をした彼に、思わず目を丸くする。
「また明日ね、倉木」