八千代くんのものになるまで、15秒
#2
からかわないで、八千代くん
「あんだよ、なんか今日機嫌いーじゃん」
「まぁね〜」
いつもの通学路、隣に並ぶ瑛士は朝からニコニコとしている私に眉を寄せた。
そんな私が手に持っているのは、1週間前に終わった中間試験の成績表。
昨日これを先生に配られてから、私の気分はルンルンなのだ。
そのことに気付いた瑛士は、呆れたようにため息を吐く。
「……お前、いつまでそんな紙切れで喜んでんの?」
か、紙切れとは失礼な……っ
「いいでしょ、別に!
今回は今までで一番結果が良かったの!」
毎回学年一位の瑛士にはこの嬉しさは分からないでしょうよっ。
次の期末試験まではこの嬉しさを噛み締めさせて!
「ふぅん?ま、数学の点が良かったからだろうな」
「っあ、ちょっと!返して!」
ヒョイっと簡単に瑛士に奪われた成績表。