八千代くんのものになるまで、15秒


くっ……この身長差がうらめしい。

背、高すぎるのよ、あんた。
中学までは私と同じぐらいだったのに。

男子高校生の平均を軽々しく上回るなっつーの……




「いつも数学だけ点数低かったのになー。
さてはカンニングしたろ?」

「ばか?するわけないでしょ」

「へぇー、自力でこの点数?すごいじゃん」




いつものようにわしゃわしゃと頭を撫でる瑛士。

っだから、髪の毛が崩れるから!
犬みたいに撫でるのやめてって言ってるのに!




「ちょっともう!やめてよね……それに、別に自力じゃないし」

「あぁ、いつも一緒にいる真田(サナダ)?だっけ?あの子に教えてもらったとか?」




梢の名前を口にする瑛士に、「ちがうよ」と首を振る。

梢はテスト前は黙々と1人で勉強してただろうし。




「八千代くんだよ」




テスト前日に、八千代くんが休み時間を使って要点を教えてくれた。

これがまた分かりやすくて……

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