八千代くんのものになるまで、15秒


そう言うと、今度は瑛士がポカンとする番。

ねぇ、口、開いてるよ?




「なにそんな驚いてんの?言ってなかったっけ?」

「いや言ってないし聞いてないし……」

「そうだっけ?じゃあ今言うけど、私、八千代くんのこと好きなんだよね」




私としたことが。

瑛士とは幼なじみでずっと一緒にいるから、てっきりもう伝えていたと思っていたけれど。

そんなことなかったみたい。



でも、確かに私、八千代くんの話は梢にばっかりしてたからな。

瑛士が知らなかったのもおかしくはないよね。



瑛士から横断歩道に視線を移すと、ちょうどチカチカと点滅しているところだった。




「あ、信号赤になりそう。走ろ……っ、?」




慌てて走り出そうとした私の腕を、瑛士は強く掴んだ。

ビックリして瑛士の方を見ると、向こうもどうしてこんなことをしたのか分からないといった様子で。


ぱちぱち、瞬きを繰り返してる。

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