八千代くんのものになるまで、15秒
……瑛士?
「……蓮、あのさ、」
「うん?」
「なんで俺、お前の腕掴んでんの?」
……。
「私が聞きたいんですけど……」
こりゃあ大変だ。
生徒の皆さん?成績学年トップで皆んなの人気者、瑛士がおかしくなっちゃったよ。
「あれじゃない?信号点滅してるのに渡ろうとしたからじゃない?」
「あぁ、まぁ、確かに危ない……」
「しっくりこない?」
「こない。きもい。」
「知らないよ、もー……」
青になった信号を、私は瑛士に腕を掴まれたまま渡った。
瑛士くん。
考え事するのはいいけど、せめて私の腕を離してからにして。
じゃないと、ほら。
同じ制服を着た生徒がちらほら見え始めたからさ。
また変な誤解されちゃうでしょっ。
「瑛士、離して」
「んー……」
「離してってば。暑いよ」
ただでさえ最近暑い日が続いてるっていうのに……