八千代くんのものになるまで、15秒
「こっちくる?」
「え、」
隣の空いているパイプ椅子を指差す八千代くんに、ぱちぱちと瞬きを数回。
ケガしてるわけでもないのにいいのかな?
体育祭だっていうのに、救護用テントの下で、八千代くんの隣にいていいのかな?
そんなことを考えながらも、私の足は無意識に八千代くんの方へと向かっていて。
気付いたら、八千代くんの隣に座ってた。
「先生に怒られるかも……」
「気分悪いって言っておけば大丈夫だよ」
クスクス、小さく笑う。
……私、やっぱり八千代くんの笑った顔を見るの、好きだな。
こう、胸がね、じんわり暖かくなってくるの。
「八千代くん……ごめんね」
「なにが?」
八千代くんの肌は、この数週間で少しこんがりと焼けた。