八千代くんのものになるまで、15秒
「蓮には人気者の幼馴染がいるのに、そいつには目もくれずに八千代に夢中なんだもん」
「夢中って……」
言っておくけど、八千代くんに対する気持ちはラブじゃなくてライクだからね?
それに、瑛士は私にとってただの幼馴染だよ。
そう言っても、梢は納得できないみたい。
「なーんか、蓮のことを特別扱いしてるように見えるんだよねー」
「気のせいだよ。あいつ、1年の頃にも他に彼女いたことあるじゃん」
ね?最初から瑛士にもそういう気持ちは無いよ。
「まぁでも、近くにもいい男いるんだからさー。八千代もいいけど、藤田のことも視野に入れてみたら」
「あはは。検討しとくよー」
「絶対しないやつじゃん」
そのタイミングで授業の開始を知らせるチャイムが鳴り、梢はそのまま前へと向き直った。