八千代くんのものになるまで、15秒


……私、今ぜったい、顔赤い。



「……どっちでもいい」



前髪をかき上げていた八千代くんは、私の言葉に小さくため息を吐いた。



「じゃあなんで、さっきはダメって言ったの」
「……」
「倉木」



顔を覗き込んで、私の言葉を待つ。
八千代くんと近い距離で目があって、その綺麗な瞳に吸い込まれそうになって。

一瞬、息の仕方を忘れてしまった。



「っ、やちよくん、ちかい……」
「わざとだよ」



わ、わざとって……



「なんでダメって言ったの?」
「う、」

「言って。」



だって、それは、



「……や、八千代くんのことを、これ以上誰にも見せたくなかった……」



ただの、私のワガママなの。
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