八千代くんのものになるまで、15秒
ぽつりとこぼれてしまった小さな声に、八千代くんは。
「……そう」
と、短く返事をして。
するりと私の腕を離して、前髪をいつものように整えた。
どうしよう。面倒くさいなって、思われた?
私のこと、嫌いになっちゃった……?
「……倉木のそーいう……自分の気持ちを自覚できないところを見ると、」
「……」
「何とかしてあげたいって思っちゃうから、どーにかして。」
「え……?」
ブーッブーッ──
その瞬間、どこかからスマホの鳴る音がした。
私のじゃないから、きっと八千代くんのスマホが誰かからの着信を知らせているのだろう。
「……ごめん、ちょっと電話」
「あっ、うん!」