八千代くんのものになるまで、15秒
ただ、八千代くんのことは、全部全部私だけが知っていればいいとも思ってしまう。
こんなぐちゃぐちゃな感情、一体どうすればいいっていうの。
「援団、終わったな。」
「うん」
「お前、梓希のことしか見てなかったろ」
「……八千代くんしか目に入らないんだから、仕方ないでしょ」
ホイッスルの音を合図に、私達は立ち上がった。
これからグラウンドに出て、クラス対抗の選抜リレーが始まる。
八千代くんのことを考えたところで、この気持ちに整理がつくとは思えない。
八千代くんの幸せとか、笑った顔を見たいとか。
だけど八千代くんのことを独り占めしたいとか。
もう、そういうのは考えないようにしよう。
結局は、私のワガママなんだから。