ﾟ･*:Plesance Sinfonia:*ﾟ･
次元の話は難しいことかもしれないが、理解するには難しくは無い。
何故ならそれはアリス自身が体験したことであるからだ。

こうやってキングダムAの風景を目にすればわかる。


アリスが元いた世界はこんなに華やかではなかった。

もっと寂れており、木枯らしが常に吹いているような。
木々も枯れ、四季もはっきりとはしておらず、ただトマトだけが生き生きと実る。


しかしここは違う。

木々は青々と茂り、空は真っ青で、陽の光が燦々と差し込む。
本の中でしか見たことの無い世界だ。


「ねえ、もし私が帰りたいって言ったらすぐに帰れるの？」


ハニーはちらとアリスを見て口を開いた。


「次元間を移動するのは容易なことではありません。
私も幾度と無く次元を旅し、アリス嬢のいる世界へたどり着いたのですから。

しかし戻れないということはありません。

けれど今は戻らないという選択が正しいでしょう。
すでにあちらには追っ手が蔓延っていると思われますからね。」


その言葉でヂチキという怪物の姿を思い出した。
全身に虫唾が走る。

あの怪物をもう一度目にするくらいならば、死んだ方がマシだ。


しかしあの街に思い入れは無い。
寧ろ二度と帰りたくないと願っている。


「まずは女王にご挨拶をしましょうか。
私も今はこの国の重役として働かせていただいてるのです。

クイーン・ハートネスの力無しではアリス嬢に会うことはできなかったかもしれません。」


「そんなに凄い人なんだ。」


「そうですね。」


垣根の迷路を縫うようにして歩き、二人は城へと向かった。
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