゚・*:Plesance Sinfonia:*゚・
 部屋に運ばれ、天蓋付きのベッドで横になった。
アリスを抱きかかえたハニーはずっと声をかけていてくれた。

少し眠り、寝覚めに冷たいお茶を飲めば大分楽になった。


「ごめんね、女王様の前だったのに。それに話も途中だった。」


するとハニーは笑って首を振った。


「それはアリス嬢が心配なさるところではありませんよ。
具合はよろしくなりましたか?」


「うん、もう平気。」


もうすでに陽が傾き始め、橙の光が窓から差し込んでいた。


「矢継ぎ早に小難しい話をして申し訳有りません。
突然の次元移動でお疲れだというのに・・・。」


ハニーはカーテンを閉め、室内のシャンデリアに火を灯した。
パチンと指を鳴らすと見事に火が灯る。

アリスはそれを見て感嘆の声を漏らした。


「ハニーって魔法使いなの!?すごい!」


「魔法使いですか・・・。」


「違うの?」


「違いはありませんが、ただ魔術が使えるだけですので。
決してそれを駆使できる訳ではなく、まだまだ腕は未熟です。」


「でもすごいって!私のいた世界では魔法なんて空想の話でしかなかったもの。
プレザンスってなんでもありなのね!すごい!」


はしゃぐアリスを見て、ハニーの胸は痛んだ。

果たして向こうの世界からプレザンスへ連れて来た事は正解だったのであろうか。
元いた世界にいた方が幸せだったのではないか。


「アリス嬢、先程のクイーンのお話は理解できましたか?」


すぐにアリスの表情が曇る。


「・・・理解はできたよ。
私がプレザンスを含め、あらゆる次元の行く末を左右する存在ってことでしょ?

ねえ、今の私には何が出来るの?
何をしたらいいの?」


ハニーはシルクハットを取り、口を開き始めた。
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