゚・*:Plesance Sinfonia:*゚・
腰丈の草を掻き分けて歩くのは簡単では無かった。
足を大きく上げて歩くため、体力を必要以上に使う。

それに今のアリスには眠気が襲ってきていた。

しかし眠る訳にはいかない。
アリスは必死にハニーの背中を追った。


「アリス嬢、少しお休みになられますか?
今ならまだ追っては見えません。」


ハニーは後ろを振り返りアリスに言った。
アリスも後ろを振り返る。

ハニーが言った通り追っ手はまだ来ていないようだった。


「いい、行く。」


「しかしアリス嬢・・・。」


「私は大丈夫!英知の塔までそんなに距離は無いんでしょ?」


「それはそうですが、しかし歩くとなるとやはり・・・。」


アリスは立ち止まった。
ハニーも不思議に思い足を止める。

するとアリスはハニーに向かって走り寄り、かと思えば飛び蹴りを食らわせた。


「なっ!?アリス嬢!!!???」


アリスの蹴りはハニーの横腹にめり込み、見事に吹き飛ばされた。
草むらの中に倒れこんだハニーは戸惑いを隠せない。

アリスは息を荒げてハニーを見た。


「いちいち子ども扱いしないでっ!
私、そんなに弱くないんだからっ!!!ハニーの馬鹿っ!!!」


最初はきょとんとしていたハニーであったが、アリスの言葉を聞いて大口を開いて笑い出した。


「そうですね。では行きましょうか。」


アリスはハニーの言葉など聞かず先を切って歩き出した。

またその姿もハニーの目には逞しく映る。


そっと微笑み、ハニーはアリスの背を追った。
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