゚・*:Plesance Sinfonia:*゚・
その後はザックから【深緑の薔薇】のメンバーを紹介された。

アリスをさらった大男に、眼帯をつけた女、傷だらけの小柄な男・・・。
その他にも盗賊団の人間はいたが、誰もが城内に入っては一目で怪しいと思われてしまうような面々だった。

これならば【お姫様誘拐計画】も実行に移せなかったのが頷ける。


最初は警戒していたアリスとハニーであったが、盗賊団の人間は皆優しかった。

決して傷つけるような真似はしなかった。
脅したりもしなければ、目下に扱うことも無かった。


アリスとハニーは盗賊団の一員として同等に扱われているのだ。


「どうだ、居心地がいいだろ?」


酒を飲み、暴れる姿を見て楽しんでいるとザックが声をかけてきた。


「ねえ、私とハニーがここから逃げるかもしれないとか考えないの?
ハニーは魔法も使えるのよ?
ここから逃げることなんて簡単なんだから、もしかしたら明日の朝にはとんずらしてるかも。」


するとザックは笑った。


「お前言ったよな?
“誘拐でもなんでもする。その代わりそれ以外は一切関わらない”って。
俺は協力さえすれば命は奪わないと言った。

約束は守る男なんだよ、俺は。」


盗賊頭のくせに意外と律儀な男だ。

アリスは適当な相槌を打った。


「それにな、逃げようなんて考えてるなら・・・こうするまでだっ!!!」


ザックは手に持っていた葡萄酒のグラスをアリスの口に当てる。
そして無理矢理に飲ませたのだ。


「んんんんーーーーーーーーーっ!!!」


「いいぞお譲ちゃん!飲め飲めっ!」


「アリス嬢っ!盗賊頭、貴様何をしたんだ!」


その日は馬鹿騒ぎのような笑い声が辺りに響いていた。




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